きょうのことばセレクション

低金利

2022.8.1(月) 掲載
 金利が低い状態にあること。代表的な金利には長期金利の指標となる10年物国債の利回りがあり、経済の状態などを映すといわれている。1980年代前半に10%を大きく超えていた米長期金利は趨勢的に低下が続き、2020年には0%台まで下がった。1619年にイタリアのジェノバで付けた1.125%の歴史上の最低金利は、日本が1998年に更新し、その後、米欧の主要国も下回るようになった。
 金利低下の理由には様々な指摘がある。ひとつは高齢化に伴って貯蓄が増え、国債に向かう資金が多くなった点だ。国債の価格と金利は逆方向に動くという関係があり、国債価格が上がると金利は下がる。一方でデジタル化によって知識集約的な産業が拡大し、設備投資が増えず資金が余りがちになったとみられている。
 インフレ率の低下も原因とされる。グローバル化で価格競争が激化したり、労働組合が減って賃金があがりにくくなったりした。中央銀行が金融緩和をして金利を下げてもインフレ率は高まりにくく、低金利が長期化するようになった。米中対立などによるグローバル化の停滞や欧米での労働組合結成の動きがインフレを高める転機になるとの指摘がある。
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