きょうのことばセレクション

所有者不明土地

2021.8.1(日) 掲載
 不動産登記簿を調べても所有者が分からない土地や、所有者が分かっても連絡がつかない土地。超高齢化時代で所有者が亡くなり相続の発生が増えるのに対し、子供など相続者の所有意識が薄く登記されずに放置されるケースが多い。遺産分割をせずに相続が繰り返されると土地共有者が増え、管理が難しくなる問題もある。
 民間有識者による所有者不明土地問題研究会が2017年にまとめた報告書によると、全国の不明土地は16年時点で九州を上回る規模の約410万ヘクタールに上る。死亡者の増加によって今後さらに増える可能性が高く、40年には北海道の面積に迫るという。機会損失や税の滞納などで40年までに累計で約6兆円の経済的な損失が生じると予測する。
 東日本大震災後に問題が表面化した。所有者が分からず同意を得られないため被災地の高台移転など復旧・復興事業が進まない事例が出た。道路建設をはじめとした公共事業や民間取引でも支障が目立つ。土地の管理が行き届かなくなると不法投棄されたゴミが異臭を放ったり雑木が生い茂ったりして近隣にも悪影響を及ぼす。
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