きょうのことばセレクション

スプリンターネット

2020.12.1(火) 掲載
 破片を意味する英語の「スプリンター」と「インターネット」を組み合わせた造語。政治や宗教などを理由に、自由なはずのサイバー空間が国や地域間で分断されてしまう状態を指す。20世紀にバルカン半島で民族国家が乱立した様子から「ネットのバルカン化」と表現されることもある。
 例えば中国では多くの米国発のSNS(交流サイト)やネットサービスを利用できず、様々な情報が検閲の対象となっている。ロシアも国内のネット網を世界から遮断する技術を開発したとされる。米国は中国アプリの排除に動く一方、同じ自由主義陣営の欧州とも個人情報の取り扱いを巡り対立。企業の集めたデータの移転が制限される可能性が出ている。
 米フリーダムハウスがまとめた「ネットの自由度」の調査では、2020年は「不自由」とされた国の割合が34%だった。15年に「自由」を逆転し、その差は広がる。スプリンターネットが加速すると政府は自国内のネットを管理しやすくなり、ネット上の言論やデータ流通の自由度がますます低下する恐れがある。
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