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ドル建て社債

2019.3.1(金) 掲載
企業が市場から資金調達するために発行する債券のうちドル建てのもの。大和総研によると、米国以外の企業の発行額は2018年は5376億ドル(約59兆円)にのぼった。17年(6104億ドル)は下回ったが、過去最高に近い高水準が続く。中国は17、18年と1千億ドル前後のドル建て社債を出しており、国・地域別では5年連続で最多だった。
 米金利が上昇するなかでもドル債の発行が大きく減らない理由は、その資金使途にある。大和総研の神尾篤史主任研究員によると、中国企業は「借り換え、返済、償還」が過半に達している。「使途不明、その他」も3割を超す。投資や買収といった前向きな用途ではなく、過去の借金の手当てに追われる姿が浮かび上がる。相対的に格付けが低い企業による発行が増えていることも、社債金利が上昇する一因となっている。
 ドル建てでの資金調達は為替リスクがついて回る。18年、元はドルに対し5%下落しており、元建ての売上比率が高い企業にとっては返済負担が増す。主に不動産業で社債の発行金利の上昇が目立つのは、不動産バブルへの警戒感だけでなく、国内事業の比率が高いことに対する投資家の不安を反映している可能性がある。
ドル建て社債