きょうのことばセレクション

学生の売り手市場

2017.11.1(水) 掲載
 国内外の景気回復が堅調なことに加えて、人手不足感が強まり、1人の学生に複数の企業が集中する「売り手市場」が続いている。リクルートワークス研究所によると、企業の求人数を就職希望者数で割った2018年春卒の大卒求人倍率は1.78倍と6年連続で増加している。
 日本では一度採用した社員の解雇は難しいため、大卒採用は雇用の調整弁として景気に左右されやすい。バブル崩壊後には、「氷河期」と呼ばれる学生の就職難が続いた。2000年代半ばには、新興国市場の成長を追い風とした景気回復で「売り手市場」となったものの、08年のリーマン・ショック後は採用数が落ち込んだ。
 人手不足を背景に企業の人材獲得競争は過熱し、就職の人気ランキングの上位に入る企業でも「採用活動では苦労している」(大手商社)。最近は3年生の夏のインターンシップ(就業体験)を利用して、実質的な採用活動に乗り出す企業も増えている。経団連が定める採用ルールが形骸化しているとの指摘もある。
学生の売り手市場