みんなの日経読みこなし

読み方マスターに“読み方のコツ”を聞きました vol.1 出合い編

日経読み方マスターが読者からの相談や疑問に答える新企画 第1回目です。
年間何本ものセミナーの講師や講演をしている日本経済新聞 マーケット営業部の山野茂樹読み方マスター。
今回は新聞の特長や新聞を活用するコツについて聞きました。ファシリテーター 中島(エンゲージメント推進部)/読み方マスター 山野(マーケット営業部)

こんな方に読んでほしい

  • 新聞を読み始めたばかり
  • 新聞を読む時間がないと思っている方

今回は新聞の良さや役立て方を知っていただく「出合い」です。

読み方のコツ vol.1 出合い編
「紙の新聞」ならではの良さを役立てよう

< 読者からのご相談 >

3年ほど新聞を購読していますが、最近は手軽に情報が収集できるネットニュースで済ましてしまう日があります。
せっかく新聞が毎日届くのに、これではいけないと思うのですが……。新聞の役立て方を教えてもらえないでしょうか。

東京都 会社員K子さん 

意識しなくても情報が流れ込んでくるネットニュースは便利ですね。
でも、ネットニュースも新聞記事の報道をもとにしたものがほとんどです。
新聞記者による取材があってのニュースなので、ぜひ新聞を読んで情報をフォローしてほしいと思います。

そうですね。
それでは、今回は「紙の新聞」ならではの良さを役立てる、をテーマに進めましょう。

紙の新聞の良さは「一覧性」であるとよくいわれますね。

はい。
紙の新聞が持つ「一覧性」は、一番の特長であり、良さだといえます。

新聞を開くと、見出しや写真、図などが目に入ります。
ひと目で様々な情報が入ってくるのが良い点だと思いますが、「一覧性」の良さをもう少し具体的に言うとどんな点でしょう?

それでは、ひとつずつ見ていきましょう。

縦見出しには5つのランクがある

日経朝刊の記事本文は1行11文字です。横に連なる列のひと塊を「段」と言い、1ページ原則15段です。見出しが何段にわたるかが記事の重要さを示しており、1面ならタテ見出しが5段、中の面なら4段にわたっていれば、それぞれの面で最も重要な記事を意味します。中面の最も重要な記事は多くの場合、ヨコ見出しと縦4段の組み合わせです。

縦見出しの大きさが5段から1段のどれかを見れば、重要度が一目で分かります。段数の多い見出しの記事、見出しが複数の記事、横見出しが付いた記事を「ビッグニュース」として注目しましょう。

記事の「場所」「大きさ」で重要度がわかる

新聞はそれぞれのページに「名称」と「役割」があります(ページ数表記に面の名称が記されています)。「自分の目に留まる記事が多いのは〇〇面」「自分にとって重要なニュースは〇〇面に多い」など、「面」を常に意識しながら読んでみましょう。

それぞれの面の右上(見開き右ページの場合は左上)に配置されている記事は、その面で最も重要度の高い記事です。新聞社によって異なりますが、「アタマ」「トップ」などと呼ばれています。また割かれているスペースの大きさも、その記事の重要度合いを示しています。自分にとって重要な面の、スペースの大きい記事は欠かさずチェックする習慣をつけましょう。

見出しのランクや記事の配置・大きさの違いは一般的なネットニュースにはありません。
紙ならではの「一覧性」ですね。

そうですね。ネットニュースでは、記事にアクセスしてもらうために様々な工夫をしているので、見出しが必ずしも結論ではない場合がままあります。
ネットニュースの良いところは速報性や検索力です。

紙、ネットのどちらにも良いところがありますね。

はい。それぞれのいいとこどりを意識しましょう。

では最後に、紙の新聞のもう一つの良さである「セレンディピティー」について見ていきましょう。

紙の「セレンディピティ―」を活用

セレンディピティーとは予想していなかったすてきな偶然に出合うことです。インターネットの良さが検索力などにあるとしたら、紙の良さは正に「セレンディピティー」にあります。たまたま開いたページで、期待していなかった役立つ情報に出合う。読みたいと思って注目した記事の、たまたま隣にある記事もためになった。紙媒体である新聞はこうした出合いが豊富です。

nikkei4946.comの「読み方 - 新聞を読みこなす3つのポイントをご紹介 -」にもある通り、ニュース記事は「逆三角形のスタイル」で書かれていて、見出しを読めば記事の概略が分かるようになっています。
この特徴も「セレンディピティー」を高めているといえるでしょう。
ぜひ紙ならではの良さを皆さんの情報収集に役立ててください。

思わぬ記事との出合いは、新聞を開く楽しみにつながりますね。
ビッグニュースや、自分にとって重要な記事の見つけ方を知っていれば、新聞を読む習慣をつけるのもそう難しくない気がしました。
ぜひ、皆さんなりに読み方のスタイルを見つけ、新聞を役立てていただきたいと思います。

ありがとうございました。

  • まとめ
  • ① 見出しの段数の多い記事、複数見出しの記事、横見出しの記事に注目しましょう
  • ② 自分にとって重要な面を見つけ、スペースの大きい記事を欠かさずチェックすることが新聞を読む習慣につながります
  • ③ 紙ならではの役立つ記事との出合いを活用しましょう
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