1人の女性が生涯に産む子どもの数の平均である合計特殊出生率は22年に1.27程度に低下し、前年の1.30を下回る公算が大きくなっています。生涯にわたり子どもを持たない人も増えています。人口学では女性が50歳時点で子どもがいない場合を「生涯無子」と見ます。経済協力開発機構(ОECD)によると、日本の1970年に生まれた女性の50歳時点の無子率は27%で、比較できるデータがある先進17カ国のうちで最も高くなっています。国立社会保障・人口問題研究所は2000年生まれの女性の31.6%(現在の出生傾向が続く場合)~39.2%(出生率を低く見積もった場合)が生涯子どもを持たないと推計しています。
出生率が下がる大きな要因としては、若い世代の子どもを持ちたいという意欲が減退していることがあります。同研究所の21年の出生動向基本調査によると、未婚女性のうち「結婚せず仕事を続ける」と答えた人は33.3%に増えて最多となり、「結婚しても子どもを持たずに仕事を続ける」の4.9%と合わせると4割近くを占めました。
国立社会保障・人口問題研究所の守泉理恵氏は同研究所の出生動向基本調査を基に、子どものいない女性を①結婚困難型②無子志向型③出産延期型④不妊・健康理由型――に分類し分析。①の結婚困難型が近年大きく増えており、25歳から49歳までのどの年代(5歳刻み)でも最多でした。女性自身の経済力だけでなく、十分な経済力がある相手を見つけられないことも一因としています。この次に多かったのは②の無子志向型で若い世代で増えており、女性全体では5%程度を占めるとみています。未婚女性は低収入や交際相手がいないと子を望まない傾向があり、子を持つことを諦めている女性が多いとしています。