むずかしいニュースこそ、「見て」学ぼう 全図解ニュース解説

その時気になる経済ニュースを、写真や図解を使いながらわかりやすく解説するコーナーです。

ニュースとニュースのつながりや、過去から現在への流れ、
そして今後への影響などを「立体的」に理解することができます。

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テーマ有機ELテレビのしくみと業界動向について知る!

液晶やプラズマテレビに続く次世代テレビの最右翼とされる「有機ELテレビ」。もともと日本メーカーが技術開発で先行していましたが、大画面の有機ELテレビの年内発売を計画するなど現在は韓国メーカーが優勢です。ソニーとパナソニックがテレビ向けの有機ELパネルを共同開発すると発表するなど、日本メーカーの巻き返しの動きも出てきました。今回は、有機ELテレビの基本的なしくみや特長、開発の経緯、国内外メーカーの動向などについて解説します。

「薄さ」と「省電力」が特徴のディスプレー技術

「薄さ」と「省電力」が特徴のディスプレー技術

 物質が電気的な刺激を受けて発光する現象を「EL(エレクトロ・ルミネッセンス)」といいます。EL現象を起こす性質を持つ有機素材(炭素を成分とする化合物)を薄い層状にして透明な基板ではさみ、そこに電圧をかけて発光させることで画像を表示する薄型テレビが有機ELテレビです。現在の主流となっている液晶やプラズマに続く次世代テレビとして本命視されています。
 最大の特色は「薄さ」と「省電力」です。有機素材がホタルのように自ら発光するので、液晶テレビと違ってパネルの背面に光源が不要で、その分薄く、消費電力を抑えられます。液晶やプラズマテレビの厚さは10センチ前後ですが、有機ELテレビは数ミリ単位です。現行の薄型パネルで使われるガラス基板の代わりに、フィルムなどの柔らかい基板を用いることで、将来的には折りたたんだり巻いたりできる「ペーパーテレビ」の実現が期待されています。
 このほか、有機ELテレビは明暗がはっきりした画像表示が可能で、動画を表示する性能に優れるという特徴があります。
 本格的な普及に向けては「大型化」と「価格」という課題があります。大型のガラス基板上に有機素材を均一に付着させる技術が確立されておらず、現状では製造コストの低減が難しいのです。そのためメーカー各社は現在さまざまな生産方式を試行しています。ソニーと韓国のサムスン電子は、赤緑青の有機素材を高温で気化させてガラス基板上に付着させる「蒸着」と呼ぶ生産方式を採用しています。中小型パネルの生産に実用化されていますが、大型パネルの生産ではコスト面で課題があります。またパナソニックは高分子と呼ばれる新タイプの有機素材をインクジェットプリンターと同じ要領でガラス基板に塗布する「印刷方式」を検討しています。こちらは量産にはまだ時間がかかりそうですが、実現すれば製造コストは液晶に比べても劇的に下がる可能性があります。

2012年9月17日掲載