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「駅ナカ」から「駅ソト」まで~鉄道会社の小売り・サービス事業について知る!

2012.10.1 掲載
本業の運輸収入が伸び悩む中、鉄道各社は「駅ナカ(えきなか)」に代表される小売り・サービス事業に力を入れています。最近では東日本旅客鉄道(JR東日本)系のルミネが駅とは直結していない銀座・有楽町に出店するなど、そのビジネスは「駅ソト」にまで拡大しはじめました。このほどリニューアルオープンした東京駅でも新たな駅ナカ施設が誕生しており、あらためて駅構内・界隈での鉄道会社の“副業”が注目を集めています。今回は、鉄道各社が小売りやサービスに注力する背景、鉄道各社の最新動向などについて解説します。

既存の小売り業態も駅内に積極出店

 最近では、保育施設を設置したり調剤薬局大手が出店を計画するなど、駅ナカで提供される商品やサービスはさらに多様化し、ますます利便性が高まっています。これまで駅ビル・駅ナカ事業はターミナル駅を中心に展開されてきましたが、開拓余地のある駅はまだ多く、潜在的な成長力は高いといえます。
 鉄道会社による小売り・サービス業は、百貨店やGMS(総合スーパー)、ショッピングセンターといった既存の小売りにとって、もはや無視できないライバルとなりつつあります。一方で、小売り各社にとって駅の中は数少ない有望な出店先でもあります。京浜急行電鉄の駅内にセブン―イレブン・ジャパンの店舗が出店したり、東京急行電鉄の駅売店がローソンに切り替わるなど、小売り大手も駅構内でのビジネスに積極的に食い込もうとしています。鉄道利用者にとっての単なる通過点ではなく、多くの人々が積極的に足を運ぶ目的地になりつつある駅――数少ないフロンティアをめぐる、既存の小売りを交えた熱い商戦はまだまだ続きそうです。
2012年10月1日掲載