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「駅ナカ」から「駅ソト」まで~鉄道会社の小売り・サービス事業について知る!

2012.10.1 掲載
本業の運輸収入が伸び悩む中、鉄道各社は「駅ナカ(えきなか)」に代表される小売り・サービス事業に力を入れています。最近では東日本旅客鉄道(JR東日本)系のルミネが駅とは直結していない銀座・有楽町に出店するなど、そのビジネスは「駅ソト」にまで拡大しはじめました。このほどリニューアルオープンした東京駅でも新たな駅ナカ施設が誕生しており、あらためて駅構内・界隈での鉄道会社の“副業”が注目を集めています。今回は、鉄道各社が小売りやサービスに注力する背景、鉄道各社の最新動向などについて解説します。

旅客数の伸び悩みを背景に小売り・サービス業に注力

旅客数の伸び悩みを背景に小売り・サービス業に注力
 鉄道各社が小売り・サービス業を拡大している背景には、鉄道事業を取り巻く社会構造の変化があります。経済の成熟化、人口減少、鉄道以外の交通手段の発達などにより、大手民営鉄道の輸送人員数は1990年代から減少傾向にあります。もともと鉄道会社は路線の魅力を高めるため、そして本業の収益を補完するために不動産開発や駅前スーパーの運営を手がけるなど経営の多角化を図ってきました。しかし最近はこれらの事業も大きな伸びが期待できません。そこで新たな事業の柱として、多数の客が行き交う「駅」という経営資源を生かせる小売り・サービス業、とりわけ駅構内のデッドスペースを有効活用でき立地条件の良さからテナント誘致もしやすい駅ナカ事業に力を入れるようになったのです。
 こうした基本的な背景のほかに、1990年代に地下利用の規制が緩和されたことも鉄道各社の駅ナカ活用を促しました。またJRグループ各社の場合は、民営化により新規事業に参入しやすくなったことも駅ナカ事業を立ち上げた一因といえます。
2012年10月1日掲載