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業界、M&A、新製品…ビールの最新事情を知る!

2012.8.6 掲載
少子高齢化の影響で国内市場が縮小する中、ビール各社は海外事業の拡大を目指しており、現地企業のM&A(合併・買収)が活発化しています。一方、国内では泡を凍らせたビールやアルコール分を全く含まない「ノンアルコールビール」を投入するなど、新機軸を打ち出し、需要喚起に躍起になっています。今回は、ビールの基礎知識、「第3のビール」などのビール系飲料の普及の経緯、ノンアルコールビール市場が急拡大している背景、最新の業界動向などについて解説します。

海外企業のM&Aが活発化

海外企業のM&Aが活発化
 第3のビールは好調なものの、ビール系飲料全体の消費は伸び悩んでいます。ビール大手5社がまとめた2011年のビール系飲料の課税済み出荷量は7年連続で前年割れを記録しており、ピークの1991年と比べて8割の水準に縮小しています。基本的な背景にあるのは少子高齢化の進展ですが、消費者のアルコールの好みの多様化や、若者があまりお酒を飲まなくなったことも響いています。その一方で、世界のビール消費量は中国を筆頭とするアジアや中南米をけん引役に、10年まで25年連続で増加し続けています。このため、海外市場でシェアを伸ばしていくことはビール大手各社の重要な経営課題となっています。
 ただ、食品の分野は国ごとに食文化の違いがあるため、海外に進出して成功するのは容易ではありません。そのため、食品メーカーが海外での事業を広げるためには、海外の有力企業と提携したり現地企業を買収するというケースが多く見られます。ビール各社も事情は同じで、近年は海外の有力企業のM&A(合併・買収)が活発化しています。
 例えば、キリンホールディングスは2009年にフィリピンのビール最大手、サンミゲルビールの株式48%を取得し、11年にはブラジルのビール・飲料大手のスキンカリオールを買収。アサヒグループホールディングスは09年に中国のビール大手の青島ビールに20%出資、11年にニュージーランドの酒類大手インディペンデント・リカーを買収しています。サッポロホールディングスやサントリーホールディングスも現地の飲料大手の買収や提携を積極的に進めています。
2012年8月6日掲載