ビジュアル・ニュース解説

「企業年金」ってなあに?

2012.6.4 掲載
2012年2月、企業年金運用会社のAIJ投資顧問が年金運用で多額の損失を出していたことが明らかになり、極めて大きな問題となりました。AIJに資金運用を委ねていたのは積み立て不足に苦しむ厚生年金基金が多く、その窮状があらためて浮き彫りになった格好です。政府・与党内では企業年金のあり方を見直す議論が本格化しています。今回は企業年金とは何か、その種類と仕組み、制度の経緯、課題などについて解説します。

企業が独自に設ける私的年金(1)

企業が独自に設ける私的年金(1)
 企業が従業員の退職時に一時金(退職金)を支払ったり、退職後の長期間に渡って年金を支給する仕組みを企業年金といいます。例えば企業年金の総額が3000万円だとした場合に、その半額の1500万円を退職金としてもらい、残りの1500万円を年金として受けとるといった選択ができるのが一般的です。
 日本の年金制度は図のように「3階建て」にたとえられます。1階部分は20歳以上60歳未満のすべての国民が加入する「国民年金(基礎年金)」で、会社員はさらに、在職中の給料額に比例して受け取れる2階部分の「厚生年金保険(厚生年金)」にも加入しています。企業年金はその上の3階部分にあたります。1階・2階部分は国により加入が義務づけられている「公的年金」ですが、企業年金は企業が独自に公的年金に上乗せする「私的年金」です。設けるかどうかは任意であり、企業年金がない会社もあります。
 現在の企業年金は大別すると、単に公的年金に上乗せするだけの「確定給付企業年金」、厚生年金の運営の一部を代行する「厚生年金基金(厚年基金)」、主に企業が拠出した掛け金を従業員が運用しその実績に応じて受けとる額が変わる「確定拠出年金(企業型)」の3種類があります。
2012年6月4日掲載