ビジュアル・ニュース解説

新型コロナ、5月から医療など平常対応に移行

2023.4.17 掲載
新型コロナウイルス感染者が国内で初めて確認されてから3年が過ぎて新規感染者数が減少傾向にあることを踏まえ、新型コロナへの対応は新たな局面を迎えています。2023年3月からマスクの着脱は基本的に個人の判断に委ねられ、同年5月から新型コロナウイルスを感染症法上で季節性インフルエンザと同じ分類に移すことが決まりました。今回は今後の新型コロナ対応がどう変わるのかをまとめました。

1.感染症法上で季節性インフルエンザと同じ分類に

1.感染症法上で季節性インフルエンザと同じ分類に
 政府は2023年1月、新型コロナウイルスの感染症法上の分類を同年5月8日に季節性インフルエンザと同じ「5類」に移すことを決めました。厚生労働省は22年12月、現在主流の新型コロナ変異ウイルスであるオミクロン型について、重症化率や致死率が低下し季節性インフルエンザとほぼ同水準と分析。ワクチン接種やマスク、手洗いといった感染対策の影響もあって単純比較はできないものの、社会経済活動の正常化をさらに進めるべきだとの意見が強まってきたためです。
 感染症法は危険度などに応じて感染症を1~5類に分類しています。その多くは数字が小さいほど危険度が高く、危険度に応じて国や都道府県に強い権限が与えられています。新型コロナは流行初期の20年2月に暫定的に「指定感染症」となり、入院勧告や行動制限などの強い措置をとれるようになりました。21年2月には「新型インフルエンザ等感染症」に位置づけが変更されました。新型コロナは「2類相当」とされることが多いですが、法律上は1類や2類より強い対策がとれ、変異ウイルスやワクチン接種率など状況の変化に応じて柔軟に運用を変更しています。
 5類に移行すると入院勧告や就業制限、外出自粛の要請などができなくなります。これまで強い措置と引き換えに医療費を公費で負担してきましたが、5類移行後は外来や入院などの医療費が原則として自己負担になります。患者が窓口で支払う医療費のうち、検査費や処方料、内服薬代などの自己負担分はこれまで公費でまかなわれていましたが、今後は原則すべての医療行為に自己負担が生じます。国の試算によると、70歳未満の3割負担の場合、最大で4170円支払うことになります。これはインフルエンザの4450円とほぼ同じです。ただし、コロナ薬には1回の治療あたりの薬価が5万~25万円程度の高額なものもあり、急激な負担増を避けるため国による無料提供を23年9月末まで続けます。入院医療費は最大で月2万円を支援します。
 現在は全国に約4万2000カ所ある発熱外来を中心にコロナ感染の疑いのある患者を診ていますが、5類移行後はこれをインフルエンザの検査実績に基づき約6万4000の医療機関に広げます。入院は将来的にすべての病院8000カ所余りで受け入れる方針で、都道府県が移行計画を策定します。感染者に原則7日間、濃厚接触者に原則5日求めていた自宅待機もなくなります。
2023年4月17日掲載