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消費税額を把握するインボイス制度が来秋開始、遅れる対応

2023.1.16 掲載
消費税額を正確に把握するため、事業者間の取引で税率や税額などを示す書類の交付や保存を義務付けるインボイス制度が2023年10月に始まります。制度開始に間に合わせるには同年3月末までに手続きが必要ですが、中小企業を中心に対応が遅れており、フリーランスで働く人たちの間では値下げ要求や取引打ち切りにつながるとの懸念も広がっています。今回はインボイス制度の仕組みやその影響などについて解説します。

1.インボイスに消費税の税率や税額を記載

1.インボイスに消費税の税率や税額を記載
 インボイスは「適格請求書」と呼ばれる書類で、商品の金額のほか、消費税の税額や税率などが記載されます。2019年10月の消費税率引き上げの際、食品などに適用する軽減税率8%と通常の10%の2種類に税率が分かれました。どちらの税率の取引かを正確に把握するため、売り手が買い手への請求書などに税率ごとに区分した税額や、税務署に登録した事業者の登録番号を記載するインボイス制度の導入が決まりました。
 企業などの事業者は取引で消費税込みの金額を支払ったり受け取ったりします。このときに事業者は消費税を一時的に預かっていることになり、消費税の受け取り分から支払い分を差し引く「仕入れ税額控除」で残った分を国に納めなければなりません。例えば消費税率が10%で、事業者が消費税30万円を含む330万円を支払って取引先から仕入れた商品を、消費税50万円を含む550万円で売ったとすると、受け取った消費税50万円と支払った消費税30万円の差額の20万円を国に納める必要があります。ただし、消費税が課される取引の売上高である課税売上高が年1000万円以下の事業者は「免税事業者」として消費税の納税が免除されています。
2023年1月16日掲載