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物価高が加速、上昇率40年8カ月ぶりの伸び

2022.12.19 掲載
物価の上昇が加速しています。2022年10月の消費者物価上昇率は3.6%と40年8カ月ぶりの伸びとなりました。資源高や円安を背景に、値上がり品目の比率は調査対象の8割に迫ります。今回は物価上昇の現状や、なぜ値上がりが広がっているのかなどについて解説します。

1.生鮮食品を除く品目のうち8割が値上がり

1.生鮮食品を除く品目のうち8割が値上がり
 総務省が発表した2022年10月の消費者物価指数(生鮮食品を除く総合、20年=100)は103.4で、前年同月比3.6%上昇。1982年2月以来40年8カ月ぶりの大幅な伸びとなりました。高騰が目立つエネルギーを除いても2.5%の伸びです。政府はガソリンへの補助金などの物価高対策を打っており、これがなければ上昇率は4%台半ばに達したとみられます。物価上昇の範囲も広がっています。モノの上昇率は前月より0.9ポイント高い6.5%で、家電や大型家具などの家庭用耐久消費財が11.8%、衣服・靴は2.5%と、身の回りの品目が幅広く値上がりしました。外食の上昇率が22年9月の3.8%から5.1%に高まったことなどで、サービスも0.2%から0.8%に跳ね上がりました。全体では生鮮食品を除く522品目のうち77.8%の406品目が値上がりしており、年初の1月の60.0%から急拡大しています。
 全国の先行指標である東京都区部の22年11月の消費者物価指数(中旬速報値、20年=100)は生鮮食品を除く総合指数が103.6と前年同月比3.6%上がりました。上昇率は1989年の消費税導入後の局面を超え、40年7か月ぶりの高さになりました。エネルギー関連の上昇率は都市ガス代が伸び、前月の24.2%から24.4%に拡大。生鮮を除く食料も前月の5.9%から6.7%に伸びが広がりました。スーパーで売れた商品から物価を分析するナウキャストの「日経ナウキャスト日次物価指数」(7日間平均値)の上昇率は22年11月に入ると6%前後で推移しており、身の回り品ほど大きく値上がりする状況です。高騰するガソリンなどのエネルギーの比重が全国より小さい東京都区部の消費者物価指数の上昇率が3%を超えたことから、全国の物価上昇率はさらに拡大しそうです。
 企業間で取引するモノの価格変動を示す企業物価指数も高い上昇率が続いています。日銀が発表した22年11月の企業物価指数(速報値、20年平均=100)は前年同月比9.3%上昇し118.5と8カ月連続で過去最高を更新しました。上昇率は11か月連続で9%を超えています。企業物価指数で前年同月比がプラスになったのは公表品目のうち85%に上りました。
2022年12月19日掲載