ビジュアル・ニュース解説

物価高が加速、上昇率40年8カ月ぶりの伸び

2022.12.19 掲載
物価の上昇が加速しています。2022年10月の消費者物価上昇率は3.6%と40年8カ月ぶりの伸びとなりました。資源高や円安を背景に、値上がり品目の比率は調査対象の8割に迫ります。今回は物価上昇の現状や、なぜ値上がりが広がっているのかなどについて解説します。

3.食品の値上げ、23年以降も4000品目超す

3.食品の値上げ、23年以降も4000品目超す
 帝国データバンクの調査によると、食品メーカー上場105社が22年に値上げした食品は累計2万822品目で、値上げ率は平均14%です。外食では主要上場企業100社のうち約6割の56社が22年10月18日までに値上げをしたか、年内に値上げを計画しており、同年1~4月までの15社から半年で約4倍に増えました。帝国データバンクは上場する食品メーカーが23年以降も4000品目を超える値上げを予定しており、同年2月に値上げラッシュとなる可能性が高いとしています。
 引き上げの波は公共料金にも広がろうとしています。国民生活への影響が大きい26品目は価格を引き上げる場合、所管官庁と消費者庁の改定協議が必要ですが、22年度の改定協議は10月までに過去最多の9件に上りました。協議対象の電力料金は、大手10社のうち東北電力、北陸電力、中国電力、四国電力、沖縄電力の5社が23年4月の実施に向けて一般家庭向けの規制料金引き上げを経済産業省に申請しており、東京電力ホールディングスも引き上げを検討しています。変動しにくい公共料金が上昇すれば、物価全体を一段と押し上げる可能性が高まります。
 政府は22年10月、物価高などに対応する総合経済対策を決めました。22年度第2次補正予算で、23年1月に始める電気代と都市ガス代の抑制策にそれぞれ2兆4870億円、6203億円を計上。ガソリンや灯油価格を抑制するための石油元売りに対する補助金延長に3兆271億円を出します。政府は抑制策で家庭の電気代負担が今の料金の2割分、都市ガス代は1割分ほど軽くなり、消費者物価を1%程度下げると見込んでいます。先行して支給しているガソリンへの補助金は当初22年1月から3月までの時限措置でしたが、延長を繰り返し23年も存続します。ただ、財政で物価を押さえつける対策は一時的な効果しかなく、持続的な賃上げなど物価上昇への耐性を高める取り組みが求められます。
2022年12月19日掲載