ビジュアル・ニュース解説

物価高が加速、上昇率40年8カ月ぶりの伸び

2022.12.19 掲載
物価の上昇が加速しています。2022年10月の消費者物価上昇率は3.6%と40年8カ月ぶりの伸びとなりました。資源高や円安を背景に、値上がり品目の比率は調査対象の8割に迫ります。今回は物価上昇の現状や、なぜ値上がりが広がっているのかなどについて解説します。

2.要因は円安・ドル高や国際的な資源価格の上昇

2.要因は円安・ドル高や国際的な資源価格の上昇
 物価高の大きな要因は急激な円安や国際的な資源価格の高騰です。円相場は22年10月に一時1ドル=150円台を突破し32年ぶりの安値をつける場面がありました。日本は多くのエネルギーや品物を海外から輸入しています。決済には米ドルが使われることが多いため、円安・ドル高は幅広い商品の輸入コストの増加につながります。円ベースの輸入物価の上昇率は42.6%で、企業は原材料高の負担を抑えるため価格転嫁を進めており、値上げはサプライチェーン(供給網)の「川上」から消費者に近い「川下」にも広がっています。
 ここにきて急激な円安・ドル高は一服していますが、物価の上昇は続く可能性があります。急激な円安を映す輸入物価指数は21年秋から前年比30~40%の上昇を続けてきました。これに対し、生鮮食品を除いた消費者物価指数の上昇は22年秋にようやく3%を超えました。店頭の商品への価格転嫁が1年も遅れたのは、デフレの長期化で企業が値上げに二の足を踏んだためです。ただ、いったん消費者の間に「値上げはやむを得ない」とのムードが定着すれば、企業も一気に値上げに踏み切りやすくなり、価格転嫁の動きが長引く可能性が高まります。
2022年12月19日掲載