ただ、地方の小選挙区の数が減ることで「地方の声が国政に届きにくくなる」との懸念もあります。10増10減を適用しても、地方の人口減少傾向が変わらなければ将来また1票の格差が2倍以上になる可能性が高く、より人口の少ない県の小選挙区の数は減り続けます。国立社会保障・人口問題研究所の将来人口推計に基づく日本経済新聞の試算によると、今回と同じ方式で定数の配分を続ければ40年は現行の区割りから「16増16減」となります。北海道、宮城、秋田、山形、福島、茨城、栃木、群馬、新潟、岐阜、和歌山、広島、山口、香川、愛媛、長崎の16道県でそれぞれ1減となり、地方の小選挙区はさらに減少します。増えるのは6都県で、東京都が8、神奈川県が3、愛知県が2、埼玉、千葉、福岡の各県がそれぞれ1増となります。このため、1票の格差を選挙区の定数の増減で是正するのは限界との声も上がっています。
衆院の政治倫理・公選法改正特別委員会は公選法改正案の採決の際、選挙制度について「国会で抜本的な検討を行う」との付帯決議をまとめました。速やかに与野党協議の場を設けるほか、25年の国勢調査の結果が判明する時点をめどに「具体的な結論を得るよう努力する」と明記。地方選出の議員が一気に減るのを緩和する方策を模索します。