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英の国王交代、王室の果たす役割は?

2022.11.7 掲載
70年余りの長きにわたり在位した英国のエリザベス女王が2022年9月に亡くなり、チャールズ新国王が即位しました。第2次世界大戦後の世界と英国の歴史を見守ったエリザベス女王の国葬には天皇陛下やバイデン米大統領、中国の国家副主席ら500人の元首・首脳級が国の政治的立場を超えて参列しました。今回は日本の皇室ともゆかりが深い英国王室はどのような存在で、その果たす役割はどんなことなのかなどについて解説します。

1.「君臨すれども統治せず」の立憲君主制に

1.「君臨すれども統治せず」の立憲君主制に
 王室(ロイヤルファミリー)とは国王一家やその一族の総称です。国王は一般的に世襲によって国を統治する最高位にある君主の称号のひとつです。世界では現在、英国やスペイン、スウェーデン、オランダ、デンマーク、ベルギー、ノルウェー、タイ、サウジアラビアなどに王室があります。日本の天皇は国際社会での格付けが国王より上の「皇帝」とされ、その一族は皇室と呼ばれます。
 16~18世紀の欧州の国々は、軍隊や役人を従えた国王が強大な権力で国を治める絶対王政の体制でした。英国では17世紀に市民革命が起きて絶対王政が崩壊。国王は残すものの、その権限を法律で決め、国の方針は議会で決定するようになり、「国王は君臨すれども統治せず」という立憲君主制に移行しました。
 2022年9月に亡くなった英国のエリザベス女王は第2次世界大戦後の70年余りにわたって在位しました。女王は1952年に即位しましたが、この時期には世界中に植民地があり「太陽の沈まぬ国」といわれた大英帝国の衰退が顕著になりました。覇権は米国に移り、47年には植民地だったインドやパキスタン、48年にはビルマ(現ミャンマー)が独立。女王即位後もアフリカ諸国などが後に続きました。60~70年代には経済の停滞が続き「英国病」といわれましたが、女王は他国の元首や政治家と積極的に交流しました。
2022年11月7日掲載