ヒト、モノ、カネは企業経営の3大資源といわれます。企業はこれまでヒトを人件費などのコスト要因として捉えることが多く、このコストをできる限り抑制しようとしてきました。これに対し、人的資本は人の能力やスキルなどを付加価値を生む資本とみなして投資の対象にする考え方です。企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)などで仕事上必要になる新たなスキルを習得するリスキリング(学び直し)や賃上げ、職場環境の改善などを通じて人材が持つスキルや能力などの価値を最大化。生産性の向上やイノベーション(技術革新)創出につなげることで企業価値を高めます。
人的資本が重視されるようになった背景には、経済のデジタル化の進行などで企業の競争力を左右するのが生産設備などのハードから、ソフトウエアや特許などの無形資産に移りつつあることがあります。企業価値を高めるために、企業は人材の教育や訓練などの充実を迫られています。人的資本の企業価値に与える影響の拡大で、財務情報だけでは測れない企業の本質的な価値をみる材料として人的資本の情報への投資家の関心も高まっています。