ビジュアル・ニュース解説

太陽表面の大規模爆発「太陽フレア」のリスクに備え急ぐ

2022.10.3 掲載
地球に光や熱をもたらす太陽。その表面で大きな爆発「太陽フレア」が起きることがあります。太陽フレアが発生すると、X線などの電磁波や、電気を帯びた高いエネルギーを持つ粒子などが放たれ、全地球測位システム(GPS)や通信、人工衛星、電力網などに障害を及ぼす恐れがあります。太陽フレアは太陽の活動が活発になったときに起きやすく、次は2025年ごろに活発になると予想されています。今回は太陽フレアがどのように発生し、どんな影響があるのかなどについて解説します。

3.発生を4段階で予測する宇宙天気予報を毎日提供

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 総務省は22年6月、100年に1度級の大規模な太陽フレアが2週間続けて起こった場合の被害想定をまとめました。それによると、2週間にわたり昼間の時間帯に一部地域で携帯電話が最大で数時間程度つながらなくなり、防災無線や消防無線、警察無線などが断続的に使えなくなります。GPSは断続的に測位精度が低下し、カーナビや自動運転車などの位置情報に最大数十メートルの誤差が出て事故が起きる可能性があります。GPSを利用する航空機は運航見合わせや減便が続きます。電力設備は保護装置の誤作動によって広域で停電が発生する恐れがあります。多くの衛星がシステムの機能を失うとも指摘し、衛星通信が利用できなくなります。
 国立研究開発法人の情報通信研究機構(NICT)は24時間以内の太陽フレア発生を4段階で予測する「宇宙天気予報」を1日1回、ウェブサイトやメールなどで提供しています。海外では欧州宇宙機関(ESA)が22年4月に宇宙天気の監視や対処にあたる「宇宙安全センター」を開設。中国とロシアも21年に同様の目的の「中ロコンソーシアムグローバル宇宙天気センター」を共同で設立するなど、宇宙天気予報への取り組み強化に動いています。総務省も宇宙天気の予測を強化するため、行政や企業向けの警報発令や予報業務の専門組織「宇宙天気予報オペレーションセンター」を22年度にも新設する方針です。
2022年10月3日掲載