総務省は22年6月、100年に1度級の大規模な太陽フレアが2週間続けて起こった場合の被害想定をまとめました。それによると、2週間にわたり昼間の時間帯に一部地域で携帯電話が最大で数時間程度つながらなくなり、防災無線や消防無線、警察無線などが断続的に使えなくなります。GPSは断続的に測位精度が低下し、カーナビや自動運転車などの位置情報に最大数十メートルの誤差が出て事故が起きる可能性があります。GPSを利用する航空機は運航見合わせや減便が続きます。電力設備は保護装置の誤作動によって広域で停電が発生する恐れがあります。多くの衛星がシステムの機能を失うとも指摘し、衛星通信が利用できなくなります。
国立研究開発法人の情報通信研究機構(NICT)は24時間以内の太陽フレア発生を4段階で予測する「宇宙天気予報」を1日1回、ウェブサイトやメールなどで提供しています。海外では欧州宇宙機関(ESA)が22年4月に宇宙天気の監視や対処にあたる「宇宙安全センター」を開設。中国とロシアも21年に同様の目的の「中ロコンソーシアムグローバル宇宙天気センター」を共同で設立するなど、宇宙天気予報への取り組み強化に動いています。総務省も宇宙天気の予測を強化するため、行政や企業向けの警報発令や予報業務の専門組織「宇宙天気予報オペレーションセンター」を22年度にも新設する方針です。