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再生エネの主力に期待の洋上風力発電、事業化に向けて始動

2022.9.19 掲載
海に囲まれた日本で、再生可能エネルギーの将来の主力と期待される洋上風力発電の事業化に向けた動きが広がっています。洋上風力発電は昼夜を問わず稼働でき、海上は陸上より風が強いため発電量を増やせます。政府は2019年に「再エネ海域利用法」を施行し、普及に向けて環境を整備。30年までに原子力発電所10基分の導入を目指しています。今回は洋上風力発電の仕組みや開発の現状などについて解説します。

3.海域を最大30年占有できる「促進区域」に8区域指定

3.海域を最大30年占有できる「促進区域」に8区域指定
 政府はこれまでに洋上風力発電の「促進区域」として、長崎県五島市沖、秋田県由利本荘市沖、同県能代市・三種町・男鹿市沖、同県八峰町・能代市沖、千葉県銚子市沖の5区域を指定。秋田県男鹿市・潟上市・秋田市沖、新潟県村上市・胎内市沖、長崎県西海市江島沖の3区域を近く指定する見通しです。
 五島市沖の海域を対象にした公募では、21年6月に戸田建設やENEОS、大阪ガスなどの企業連合が事業者に選定され、24年に計8基の洋上風力発電を稼働させる計画です。21年12月には初の大規模公募だった秋田県沖と千葉県沖の3海域すべてで三菱商事の子会社を中心とする企業連合が選ばれました。同連合の風力発電は3海域とも着床式で、入札した売電価格は1キロワット時あたり11~16円台と、固定価格買い取り制度(FIТ)の着床式洋上風力発電の22年度価格の同29円と比べて大幅に安く、大規模太陽光発電の同10~11円に迫ります。
 日本企業だけでなく、ノルウェー石油大手のエクイノールも北海道沖に原発4基分の出力に相当する400万キロワットの浮体式洋上風力発電を30年代にも建設することを目指しています。
2022年9月19日掲載