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再生エネの主力に期待の洋上風力発電、事業化に向けて始動

2022.9.19 掲載
海に囲まれた日本で、再生可能エネルギーの将来の主力と期待される洋上風力発電の事業化に向けた動きが広がっています。洋上風力発電は昼夜を問わず稼働でき、海上は陸上より風が強いため発電量を増やせます。政府は2019年に「再エネ海域利用法」を施行し、普及に向けて環境を整備。30年までに原子力発電所10基分の導入を目指しています。今回は洋上風力発電の仕組みや開発の現状などについて解説します。

2.30年までに原発10基分の導入めざす

2.30年までに原発10基分の導入めざす
 風力発電の国際業界団体である世界風力会議(GWEC)によると、2021年に新たにできた世界の洋上風力発電所の発電能力は過去最高の2110万6000キロワットで、20年の3倍に急増しました。拡大をけん引するのは中国で全体の8割を占めています。累積導入量は5717万6000キロワットに増加し、30年までに2億6000万キロワット増える見通しです。
 国際再生可能エネルギー機関(IRENA)によると、21年に新たに導入された洋上風力の発電コストは1キロワット時当たり0.075ドル(約10.3円)で20年比13%減となり、10年前の約3分の1の水準まで下がりました。コストの低下も普及への追い風となっています。
 日本はこれまで洋上風力発電を稼働させるための法整備が遅れていましたが、政府に選定された事業者が指定された海域を最大30年間占有して洋上風力発電事業ができるようにする「再エネ海域利用法」が19年に施行。政府が20年に発表したグリーン成長戦略では30年までに原子力発電所10基分の約1000万キロワット、40年までに同30~45基分に当たる3000万~4500万キロワットの洋上風力発電導入を目標としました。
2022年9月19日掲載