日本は資源高により電気代やガソリン価格などエネルギー関連が大きく上昇し、原材料高で食料品も値上がりしており、22年5月の消費者物価指数は変動の大きい生鮮食品を除く総合指数が前年同月比2.1%上昇。上昇率は2カ月連続で2%を超えました。ただし主要な先進国と比べると、米国は同月に8.6%と3カ月連続で8%を超えており、ユーロ圏は8.1%、英国も9.1%で、日本の物価上昇はまだ低い水準です。
これに対し、日銀は22年6月の金融政策決定会合で大規模な金融緩和の維持を決めました。景気はまだ回復途上で、緩和縮小は時期尚早とみたためです。しかし、世界の主要中銀が利上げに動くなか緩和を続けることで米欧との金利差が拡大。一段の円安を招いて輸入品が値上がりし、インフレ圧力を高めかねません。資源高と円安が輸入価格を押し上げれば、輸出産業を除き企業の収益環境は厳しさを増します。円安による値上げラッシュが景気悪化につながれば、日銀は景気も賃金も上向かないなか利上げを迫られる恐れがあります。日本がスタグフレーションに陥ることへの懸念は杞憂ではありません。