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世界有数の火山国・日本、富士山もいずれ噴火?

2022.6.20 掲載
日本は多くの活火山を抱える世界でも有数の火山国です。それだけに過去にはたびたび火山災害に見舞われており、今後もいつどこで噴火が起きても不思議ではありません。今回は日本に火山が多い理由や防災への備えなどについて解説します。

1.世界の活火山の7%の111が日本に集中

1.世界の活火山の7%の111が日本に集中
 日本には世界の活火山の7%に当たる111が集中しています。活火山には現在、噴気を上げるなど目立つ活動をしている火山だけでなく、過去1万年以内に噴火したことがある火山も含まれます。かつては噴気などの火山活動はないが文書などに噴火の記録が残っているものを休火山、歴史上に噴火の記録がないものは死火山と分類されていました。しかし、火山活動は数十万年続き現在活動していなくても噴火することがあるので、この分類は使われなくなりました。
 なぜ火山は日本にこれほど集まっているのでしょうか。火山は地球の表面を覆う十数枚の巨大な岩板(プレート)と密接に関わっています。プレートには陸の部分の大陸プレートと海の部分の海洋プレートがあり、海洋プレートは長い年月をかけて海の底を移動。大陸プレートとの境界にある、海底が細長い溝状に深くなっている海溝やトラフから沈み込み、マントルと呼ばれる地球内部の広大な岩石層に入ります。海洋プレートは水を大量に含んでおり、地下100キロメートルくらいまで沈み込んで温度と受ける圧力が上がると水が染み出てきます。この水がマントルを構成する岩石と反応すると、その岩石が部分的に溶けてマグマになります。マグマは軽いためマントルの中の隙間を伝って上昇し、途中で周囲の岩石と反応していくつかのマグマだまりをつくりながら地表近くまで達します。最も地表に近いマグマだまりのマグマが何らかのきっかけで地表に出ると噴火になり、その際の噴出物で火山ができます。 
 日本付近では大陸プレートの北米プレートとユーラシアプレート、海洋プレートの太平洋プレートとフィリピン海プレートの4つのプレートが重なり合っています。太平洋プレートは東日本沖合の日本海溝から北米プレートの下に潜り込んでおり、フィリピン海プレートは静岡県の駿河湾から宮崎県の日向灘にかけての南海トラフからユーラシアプレートの下に潜り込んでいます。つまり日本付近の深さ100キロメートルあたりでマグマが生み出されることで火山活動が活発になり、火山がたくさんできるわけです。
2022年6月20日掲載