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ウクライナを支援、NAТOとはどんな組織?

2022.5.16 掲載
ロシアによるウクライナへの軍事侵攻に対し、米国や欧州を中心とする軍事同盟である北大西洋条約機構(NAТO)がウクライナへの軍事物資や資金の供与などの支援を拡大しています。そもそもロシアの侵攻はウクライナの NAТO加盟模索が一因です。今回はNAТOがどのような組織なのかを解説します。

北欧のフィンランドとスウェーデンも加盟に傾く

北欧のフィンランドとスウェーデンも加盟に傾く
 ロシアのウクライナへの軍事侵攻で、 NAТOはウクライナを支援するとともに、欧州東部への部隊の配備をこれまでのバルト3国とポーランドに加えてスロバキア、ルーマニア、ブルガリア、ハンガリーの4カ国にも広げて防衛力を強化します。これまで軍事的中立を維持してきた北欧のフィンランドとスウェーデンも安全保障上の危機感を強めており NAТOへの加盟に傾いています。 NAТO拡大に反発したロシアの侵攻が皮肉にも NAТOの再拡大につながりそうな情勢です。
 NAТOには加盟国以外に協力を深める国があり、22年4月の NAТO外相会合には日本の林外相が初めて参加したほか、韓国やオーストラリアなども「パートナー国」として招かれました。 NAТOは21年6月に開かれた首脳会議の共同宣言で、日韓豪などアジア・太平洋地域の国との協力促進を打ち出しました。中国の影響力拡大が安全保障上の重要なテーマになったためです。日本は14年に当時の安倍晋三首相が NAТO本部で当時のラスムセン事務総長と協力計画に署名。18年には NAТOに政府代表部を開設しました。今後は NAТOの東アジアへの関心の高まりを期待し、サイバーなど新しい領域で協力を進める方針です。
2022年5月16日掲載