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ウクライナを支援、NAТOとはどんな組織?

2022.5.16 掲載
ロシアによるウクライナへの軍事侵攻に対し、米国や欧州を中心とする軍事同盟である北大西洋条約機構(NAТO)がウクライナへの軍事物資や資金の供与などの支援を拡大しています。そもそもロシアの侵攻はウクライナの NAТO加盟模索が一因です。今回はNAТOがどのような組織なのかを解説します。

2.東側陣営の脅威への対抗から紛争予防や危機管理に重点移す

2.東側陣営の脅威への対抗から紛争予防や危機管理に重点移す
 89年に冷戦が終結。91年にワルシャワ条約機構が解体しソ連が崩壊すると、東側陣営の脅威への対抗という NAТOの創設当初の目的は薄れました。それにともない、 NAТOは域外・周辺地域の紛争予防や危機管理に重点を移しました。90年代には旧ユーゴスラビア諸国の内戦に軍事介入しました。
 NAТOが基づく北大西洋条約は全加盟国の同意を前提に「いかなる欧州の国」も招きいれることができると定めており99年以降、東欧諸国が相次いで NAТOに加盟しました。99年にチェコ、ハンガリー、ポーランド、2004年には旧ソ連から独立したエストニア、ラトビア、リトアニアのバルト3国を含む7カ国が参加。旧ワルシャワ条約機構加盟国は旧ソ連を除くすべての国が NAТOに入りました。旧ソ連に属した国もバルト3国に続いてウクライナとジョージアが NAТO加盟を求め、08年にルーマニアで開かれた NAТO首脳会議で両国の将来の加盟が認められました。
 NAТOの東方拡大に対し、ロシアは勢力圏が圧迫されることに反発。とりわけウクライナを NAТO加盟国との軍事的な緩衝地帯として重要視しているため、14年のウクライナ東部への軍事介入やクリミア半島併合に続き、22年2月には軍事侵攻しました。
2022年5月16日掲載