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ウクライナを支援、NAТOとはどんな組織?

2022.5.16 掲載
ロシアによるウクライナへの軍事侵攻に対し、米国や欧州を中心とする軍事同盟である北大西洋条約機構(NAТO)がウクライナへの軍事物資や資金の供与などの支援を拡大しています。そもそもロシアの侵攻はウクライナの NAТO加盟模索が一因です。今回はNAТOがどのような組織なのかを解説します。

1.北米や欧州を中心に30カ国が加盟する軍事同盟

1.北米や欧州を中心に30カ国が加盟する軍事同盟
 NAТOは北米の米国、カナダと西欧の英国、フランスなど12カ国で 1949年に発足した軍事同盟です。集団防衛や危機管理、協調的安全保障を中核任務としています。加盟国が武力攻撃を受けた場合、全加盟国への攻撃と見なして兵力使用を含めて反撃する集団的自衛権を行使して共同対処できる体制を構築し、武力攻撃に対する抑止力を高めています。現在、北米や欧州を軸に30カ国が加盟しており、本部はベルギーのブリュッセルに置いています。
 第2次世界大戦後に米国や西欧を中心とする西側陣営と、旧ソ連や東欧などの東側陣営が対立し世界を二分しました。米ソは直接武力衝突せず、アジアやアフリカ諸国での局地戦や情報戦が主だったため「冷たい戦争」と呼ばれました。NAТOはこの東西冷戦下で旧ソ連の脅威に対抗するために結成されました。これに対し、東側陣営は55年にワルシャワ条約機構を発足させました。その後、NAТOには52年にギリシャとトルコ、55年に旧西ドイツ(現ドイツ)、82年にはスペインが加わり加盟国は16カ国になりました。
2022年5月16日掲載