ビジュアル・ニュース解説

22年夏に参院選、衆院とどこが違う?

2022.3.7 掲載
2022年夏に3年に1度の参議院選挙があります。岸田政権の政策に対して事実上、初めて国民の審判が下される国政選挙になります。国会は衆議院と参議院の二院制ですが、「衆院のカーボンコピー」とする参院不要論もあります。今回は参院と衆院の違いや参院が担う役割などについて解説します。

2.衆院より任期長く3年ごとに半数改選、解散はなし

2.衆院より任期長く3年ごとに半数改選、解散はなし
 参院は議員の任期が衆院の4年より長い6年で、3年ごとに半数が改選されます。衆院のように任期途中での解散がないので、じっくりと審議できます。選挙に立候補し当選できる資格の被選挙権は衆院が25歳以上なのに対し、参院は30歳以上です。参院はかつて学識経験者や地方自治体の首長経験者、文化人らが議員に名を連ね、過半数の無所属議員が院内会派「緑風会」を結成して政党色の薄い活動していたこともあり、「良識の府」と呼ばれることがあります。
 参院の選挙制度は当初、都道府県ごとの地方区と全国をひとつの選挙区とする全国区に分かれていましたが、1983年から全国共通の候補者に政党名、候補者名のどちらかで投票する比例代表と地方区を改称した選挙区になりました。比例代表は政党名と個人名の得票を合計した総得票数に応じて各党に議席を配分します。政党ごとの議席数は総得票数を1、2、3……と整数で割り、商の大きい順に配分します。参院の選挙制度変更で、小選挙区比例代表並立制の衆院と民意を映す機能にあまり差がなくなり、参院は「衆院のカーボンコピー」といわれることもあります。
 衆院と参院はそれぞれ独立して審議し、両院の議決が一致したときに国会の決定となるのが原則です。しかし、衆参の多数派が異なる「ねじれ国会」のときなどは両院の意思が必ずしも一致するとは限らないので、両院協議会の設置や衆議院の優越が定められています。
 両院協議会は衆院と参院が異なる議決をした場合に両院の意見を調整するための機関です。衆参それぞれ議員10人が委員となり、協議案が出席委員の3分の2以上で議決されたとき「成案」となります。その後、衆参両院の本会議で可決されれば成立します。両院協議会は予算の議決、条約締結の承認、首相の指名で両院の意思が異なる場合は必ず開かれます。
 衆院の優越としては予算の議決、条約締結の承認、首相の指名で衆院と参院が異なる議決をし、両院協議会でも意見が一致しない場合は衆院の議決が国会の議決となります。その他の法案は衆院の可決後60日以内に参院が議決しなければ否決と見なすことができます。衆院が可決した法案を参院が否決しても、衆院が出席議員の3分の2以上の賛成で再び可決すれば法は成立します。
2022年3月7日掲載