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東証の株式市場再編、消える1部

2022.2.21 掲載
東京証券取引所の4つの株式市場が2022年4月にプライム、スタンダード、グロースの3市場に再編されます。市場再編によって各市場に上場する企業の特色を明確にするほか、最上位市場の基準を厳格化して企業価値の向上を促します。今回は東証の市場が再編でどのように変わるのかをその背景などを含めて解説します。

3.TOPIXの構成銘柄も段階的に絞り込み

3.TOPIXの構成銘柄も段階的に絞り込み
 東証の市場再編に伴い、東証株価指数(TOPIX)も構成銘柄が変わります。対象がこれまでの1部上場の全企業から、プライムの上場企業と現在の1部上場企業のうち流通株式時価総額が100億円以上の企業などに絞り込みます。当初はこれまでの採用銘柄を維持しますが、流通株式時価総額が100億円未満の企業は22年10月末から25年1月末にかけて段階的に除外されます。日経平均株価は構成する225銘柄の上場市場をこれまでの1部からプライムに変更します。これらの指数に連動する投資信託を運用する機関投資家が、除外された企業を運用対象から外せば、その企業の株は大量に売られてしまい株価に大きな影響が出ます。
 プライム市場の上場企業1社あたりの時価総額は中央値で599億円と、米国のニューヨーク証券取引所やナスダック証券取引所の上位市場、グローバルセレクトの3分の1以下です。プライムの1社あたりの時価総額は単純平均でも約3950億円でニューヨーク証取の約1兆8000億円、ナスダックの約1兆9000億円の5分の1程度と見劣りします。運用規模が大きい海外投資家の投資対象は時価総額で5000億円程度が最低ラインで、プライムの1社あたりの時価総額は中央値、単純平均のいずれも届きません。市場再編後もプライムから不振企業を退出させたり、グロースやスタンダードの有望企業を育ててプライム入りを促したりして、企業の新陳代謝を進めることが求められます。
2022年2月21日掲載