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東証の株式市場再編、消える1部

2022.2.21 掲載
東京証券取引所の4つの株式市場が2022年4月にプライム、スタンダード、グロースの3市場に再編されます。市場再編によって各市場に上場する企業の特色を明確にするほか、最上位市場の基準を厳格化して企業価値の向上を促します。今回は東証の市場が再編でどのように変わるのかをその背景などを含めて解説します。

2.1部上場企業の8割強はプライムに移行

2.1部上場企業の8割強はプライムに移行
 東証は22年1月、株式市場再編後の上場企業すべての所属先を公表しました。それによると、現在の東証1部上場企業のうち8割強の1841社はプライムに移行し、スタンダードに移る企業は2割弱の344社にとどまりました。スタンダードに移る企業の総数は1477社、グロースは459社です。ただ、東証はプライムの基準を満たさなくても、改善策や達成時期を示した計画書を開示すれば上場できる例外規定を設けており、1841社のうち296社はこの経過措置の適用を受けます。基準達成の期限は定められていないため、達成までの期間はばらつきがあり10年の企業もあります。東証は計画書の内容を精査し、有識者を交えて期限を決める方針です。
 スタンダードに移るのは親会社が保有する株式が多く、流通株の比率が基準を満たさない企業や、事業の範囲が国内に限られるためプライムを目指さない企業が大半ですが、大正製薬ホールディングスやエバラ食品工業、クックパッドなどプライムの基準を満たしていながらスタンダードを選んだ企業も23社あります。
 プライム基準に達していない1部上場企業のうち流通株式時価総額が足りない企業は217社、流通株式比率が届かない企業は36社と、流通株に関連する基準が高いハードルとなっています。これらの基準を達成するため、親会社や取引先などの主要株主に自社の株を売ってもらったり、自社株買いをしたりする企業が相次ぎそうです。
2022年2月21日掲載