TPPの原則は「例外なき関税の撤廃」「各国の貿易ルールや仕組みの統一」です。TPPで日本が輸入する農林水産物の82.3%の関税が最終的に撤廃されます。原則38.5%の関税がかかっていた牛肉は、発効から16年目には9%まで下がります。TPPには畜産大国のオーストラリアとニュージーランドが参加しており、輸入牛肉に占める両国の割合は5割を超えるため、牛肉の値下がりが期待できます。果物では16%か32%だったオレンジの関税が6~8年目になくなり、ニュージーランドとチリが輸入量の9割以上を占めるキウイは6.4%の関税が撤廃されました。ワインは価格の15%か1リットル当たり125円のいずれか低い方の関税がかかりましたが、8年目になくなります。コメはオーストラリアに無税の輸入枠(最大8400トン)ができました。
日本からの輸出では工業品の99.9%、農林水産物は98.5%の関税が最終的に撤廃されます。自動車ではカナダが乗用車にかけている6.1%の関税が発効から5年目にゼロになります。牛肉はカナダがかける26.5%の関税が6年目になくなり、コメはマレーシアが40%の関税を11年目に撤廃します。
また、域内の経済活動のルール整備により、モノや人の流れがより速く、活発になります。税関手続きでは空港に荷物が着いてから原則48時間以内に業者が荷物を受け取れ、空輸された生鮮品などは必要な書類を提出すれば6時間以内に受け取れるようになりました。動画や音楽、電子書籍などデジタルコンテンツをオンラインで国外の業者から買った場合は関税を課さず、各国の中央銀行などが提供する支払いや決済のシステムへの外資系金融機関の参加も不当に拒むことを禁じました。小売業についてはマレーシアがコンビニエンスストアへの出資を専業の外資に30%まで認めるほか、ベトナムは発効から5年後に500平方メートル未満のスーパーなどの出店を外資に審査なしで認めます。