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TPP拡大、英に続き中台などが加盟申請

2022.1.17 掲載
日本やカナダ、オーストラリアなど11カ国が参加する環太平洋経済連携協定(TPP)が枠組みの拡大に動き出しました。英国と加盟交渉を始めたのに続き、2021年9月には中国と台湾が相次ぎ加盟を申請しました。今回はTPPがどのような協定で、加盟拡大に向けた課題は何かなどについて解説します。

1.環太平洋の11カ国が参加する多国間の通商協定

1.環太平洋の11カ国が参加する多国間の通商協定
 TPPは日本のほか、ベトナムやニュージーランド、ペルーなど環太平洋の11カ国が参加する多国間の通商協定です。多くの物品の関税を撤廃するとともに、電子商取引や知的財産など様々な分野のルールを定めています。特定の国や地域との間で輸出入にかかる関税を引き下げたり撤廃したりすることでモノやサービスの貿易を円滑にする自由貿易協定(FТA)のうち、多くの国が参加する広域の協定を「メガFТA」と呼びます。TPPはアジア太平洋をまたぐ初めてのメガFТAで、世界の貿易額の約15%を占めます。
 TPPの原型は2006年にニュージーランド、シンガポール、ブルネイ、チリの4カ国で発効した「P4協定」で、米国を含む12カ国が15年に大筋合意しました。しかし、米は多国間ではなく2国間協議を重視するトランプ政権への交代で17年に離脱を表明したため、TPPは米国を除く11カ国で「TPP11」として18年に発効しました。
2022年1月17日掲載