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エネルギー基本計画、50年の温暖化ガス「ゼロ」へ再生エネを最大限導入

2021.12.20 掲載
2050年に温暖化ガス排出量の実質ゼロ実現に向けて、政府は21年10月、国の中長期的なエネルギー政策の方針を示す新たなエネルギー基本計画を決定しました。計画では再生可能エネルギーを「最優先に最大限導入する」方針を掲げました。今回は新エネルギー基本計画で電源構成がどのように変わるのかや、目標実現への課題などを解説します。

1.30年度に再生エネ比率を36~38%に上げ、火力は41%に下げ

1.30年度に再生エネ比率を36~38%に上げ、火力は41%に下げ
 エネルギー基本計画は2002年に制定されたエネルギー政策基本法に基づき03年に初めて定められて以降、おおむね3年ごとに見直されています。今回の第6次計画では、温暖化ガス排出量の4割を占める発電部門で30年度に電気を何で供給するのかの構成を示しました。
 20年10月に当時の菅義偉首相が温暖化ガス排出を50年までに実質ゼロにすると表明し、さらに21年4月には30年度に13年度比46%減らす目標を掲げました。これを受けて、30年度の電源に占める再生エネ比率を19年度実績の18%から36~38%に引き上げます。原子力はこれまでの計画の30年度目標を変えず、19年度の6%から20~22%にします。燃焼しても温暖化ガスを排出しない水素やアンモニアで1%を目指します。一方、現在の主力電源である石炭や液化天然ガス(LNG)を使う火力は19年度の76%から41%に比率を引き下げ、そのうち温暖化ガス排出量の多い石炭火力は19年度の32%から19%にします。
2021年12月20日掲載