ビジュアル・ニュース解説

エネルギー基本計画、50年の温暖化ガス「ゼロ」へ再生エネを最大限導入

2021.12.20 掲載
2050年に温暖化ガス排出量の実質ゼロ実現に向けて、政府は21年10月、国の中長期的なエネルギー政策の方針を示す新たなエネルギー基本計画を決定しました。計画では再生可能エネルギーを「最優先に最大限導入する」方針を掲げました。今回は新エネルギー基本計画で電源構成がどのように変わるのかや、目標実現への課題などを解説します。

3.石炭火力の利用継続に海外から批判高まる

3.石炭火力の利用継続に海外から批判高まる
 これまでより大幅に比率は下がるものの、なお4割を担う火力はLNG火力が20%で19%が石炭火力です。石炭火力のCO₂排出量はLNGの約2倍と多く、欧州ではフランスが22年、英国は24年までにそれぞれ国内の石炭火力を廃止する方針で、産炭国のドイツも38年までに全廃を目指しています。21年11月に開かれた、地球温暖化対策の枠組みを決める第26回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP26)は石炭火力の利用について段階的な削減で合意。石炭火力への依存度が先進7カ国(G7)の中でもっとも高く、今後も石炭火力を使い続ける方針の日本に対する海外からの風当たりは強まっています。  
 このようにエネルギー基本計画の目標実現には高いハードルがあります。産業や生活に必要な電気の安定供給と発電の脱炭素化を、電気の大幅な価格上昇につながらないようにしながら進めるにはどうしたらいいのか。まだ明確な道筋は見えていません。
2021年12月20日掲載