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海の環境汚染や温暖化ガス発生、プラスチックごみ削減機運高まる

2021.10.18 掲載
プラスチックごみの削減やリサイクルの取り組みを強化する「プラスチック資源循環促進法」が2021年6月に成立し、小売店や飲食店に使い捨てのストローやスプーンなどの削減を義務付けることが決まりました。日本のプラスチックごみのリサイクル率は8割を超えますが、焼却して熱を回収する処分の割合が高く国際基準では低い水準です。今回はプラスチックごみが抱える問題と処理の現状などについて解説します。

3.スプーンやストローなどの有料化や代替素材への転換を義務化

3.スプーンやストローなどの有料化や代替素材への転換を義務化
 21年6月に成立したプラスチック資源循環促進法は、小売店や飲食店がこれまで無償で提供していた使い捨てのストローやスプーンを有料にしたり、木材や紙、バイオプラスチックなどの代替素材へ転換したりすることを義務化し、プラスチックの使用量削減につなげます。22年4月の施行に向けた環境省と経済産業省の省令案によると、削減対象はスプーンやストローのほか、マドラー、ホテルが提供するヘアブラシや歯ブラシ、クリーニング店のハンガーなど12品目で、年5トン以上使用する事業者に有料化や再利用などを義務付けます。食品を販売する百貨店やネット通販、配達飲食サービスなどの事業者にも削減を求めます。取り組みが不十分な場合は社名を公表。命令に従わない場合は50万円以下の罰金も課します。
 政府は21年4月に素材産業の国際競争力を高める「マテリアル革新力強化戦略」で、使用済みプラスチックの再利用を35年までに100%に引き上げる目標を掲げました。企業にリサイクルを前提とした製品設計を求め、石油などの代わりにCO₂を使うプラスチック製品や、木材由来のセルロースファイバーの活用を見込んでいます。素材各社は既に対応を進めており、三菱ケミカルは微生物の力で自然分解する生分解性プラスチックのストローや紙コップなどへの採用増を目指しています。花王は使用済みの化粧品のプラスチックボトルを回収し、分解・再生して同じ用途で使う取り組みを始めました。同社は国内で販売する日用品の容器のすべてを25年までに再生プラスチックに切り替える方針です。
2021年10月18日掲載