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海の環境汚染や温暖化ガス発生、プラスチックごみ削減機運高まる

2021.10.18 掲載
プラスチックごみの削減やリサイクルの取り組みを強化する「プラスチック資源循環促進法」が2021年6月に成立し、小売店や飲食店に使い捨てのストローやスプーンなどの削減を義務付けることが決まりました。日本のプラスチックごみのリサイクル率は8割を超えますが、焼却して熱を回収する処分の割合が高く国際基準では低い水準です。今回はプラスチックごみが抱える問題と処理の現状などについて解説します。

2.廃プラ有効利用の70%は焼却して熱を回収

2.廃プラ有効利用の70%は焼却して熱を回収
 日本では1997年に施行された容器包装リサイクル法で、自治体が分別回収した資源ごみの再商品化が容器の製造業者や商品を販売する企業に義務付けられました。これによってペットボトルの回収率は2012年度以降おおむね90%を超え、衣類や車の内装材などへのリサイクル率も19年度に86%と世界最高の水準となっています。20年7月からは容器包装リサイクル法の省令改正で、小売店が配布するプラスチック製レジ袋が有料化されました。有料化でレジ袋の受け取り辞退が増え、環境省の20年11月の調査では辞退率が7割を超えました。
 15年に879万トンだった廃プラ排出量は19年には850万トンまで減少しました。しかし、家庭から出る一般系は17年から19年まで3年続けて前年を上回っています。日本の1人当たりのプラ容器包装廃棄量は世界で米国に次ぎ多く、新型コロナウイルスの感染拡大による巣ごもり生活の広がりでさらに廃棄量が増えそうです。19年にリサイクルなどで有効利用された廃プラは726万トンで、排出量全体の85%です。ただし、有効利用の70%は焼却して熱を回収する「サーマルリサイクル」で、海外ではリサイクルと見なされない手法です。廃プラ全体の4分の3にあたる638万トンは焼却や埋め立てで処分されており、世界基準ではリサイクル率は25%にとどまっています。15年に年161万トンだった廃プラ輸出量は中国の輸入禁止で18年に前年比42万トン減の101万トンに急減した後、20年には82万トンまで減少しており廃プラ削減は急務となっています。
2021年10月18日掲載