国内の森林は戦中、戦後の大量伐採で荒廃しましたが、その後の植林で森林面積は拡大。森林の4割を占める人工林は木材としての利用期を迎えています。しかし、それまで半世紀にわたって木材を輸入に頼ったため木材の自給率は低下が続き、19年の自給率は37.8%にとどまっています。林業従事者は減少しており、管理が不十分な森林も少なくありません。そうした状況下では国産材の供給をすぐに大幅に増やすことはできません。
政府は21年6月に決定した森林・林業基本計画で、30年の国産木材の供給量を19年実績比35%増の4200万立方メートルに増やすことを目標とし、建築材の総需要量に占める国産材の利用量の割合を19年時点の5割弱から6割強に引き上げることを目指します。国産材の供給拡大に向けて、通常より2倍程度速く育ち国産材に使える樹木を23年度にも実用化します。スギやヒノキより成長が速いとされる「コウヨウザン」や「センダン」を想定し、生育を速められる交配の研究や最適な森林環境の調査を進め、木材への早期活用を狙います。森林は温暖化ガスの二酸化炭素を吸収し蓄えるため、温暖化ガスの吸収量増加による脱炭素への貢献も見据えて木材活用を促します。
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