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新型コロナ拡大、米発「ウッドショック」で住宅向け木材が高騰

2021.10.4 掲載
新型コロナウイルスの感染拡大は意外なところにも影響を及ぼしています。そのひとつが住宅に使う木材価格の高騰です。米国では在宅勤務が広がり、人が密集する都心部から郊外への転居が増えたことなどによって起きた住宅ブームで木材需要が急拡大して需給が逼迫し価格が上昇。それが日本国内にも波及し、輸入材だけでなく国産材の価格も高騰しています。今回は「ウッドショック」と呼ばれる木材価格の上昇とその背景について解説します。

1. 新型コロナ感染拡大などで住み替え増え米住宅需要が急回復

1. 新型コロナ感染拡大などで住み替え増え米住宅需要が急回復
 米国では新型コロナウイルスの感染拡大で冷え込んだ住宅需要が2020年6月ごろから急回復。21年3月には住宅着工件数が173万9000戸(季節調整済み、年率換算)に増え、06年以来の高水準となりました。コロナ禍で在宅勤務が定着したことによる都市の中心部から郊外への住み替え需要の増加のほか、低水準の住宅ローン金利や株高で資産が膨らんだ富裕層の購入拡大などが背景にあります。北米の木材メーカーはコロナ感染拡大による木材需要の減少を見越して20年春に減産しており、住宅着工の急回復で木材不足に陥って価格が上昇。シカゴ・マーカンタイル取引所(CМE)の木材先物価格(期近)は21年5月7日に、最も取引の多い7月物が例年の4倍以上の1000ボードフィート(約2.36立方メートル)あたり1670.5ドルに達し過去最高値を更新しました。この木材価格の高騰は1970年代の石油ショックになぞらえ、「ウッドショック」と呼ばれています。
 新型コロナの影響を抑えた中国でも経済回復への期待が高まり、産業用丸太など木材の需要が増えているほか、巣ごもり需要の拡大によるコンテナ物流の急増や港湾の労働力不足で世界の海上輸送が滞っていることにより木材供給が減少。木材価格の高騰に拍車をかけました。
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