欧米などと比べ遅れていた国内のワクチン接種は急ピッチで進み、21年9月13日時点で65歳以上の高齢者の88%、全人口の45%が2回の接種を済ませています。米国のファイザー製とモデルナ製のワクチンが使われてきましたが、同年8月から原則40歳以上を対象に英アストラゼネカ製の接種も始まりました。これらのワクチンはいずれも変異ウイルスが生まれる前に作られたため、デルタ型など変異ウイルスに対し効果が限られるのではないかとの懸念が出ています。
米国立アレルギー感染症研究所などのグループはモデルナ製ワクチンについて、接種から半年後もデルタ型などに対して効果があったとの実験結果を発表。ファイザー製についても、英イングランド公衆衛生庁がデルタ型発症防止の有効性は88%と高い効果が認めており、ワクチンはデルタ株に対しても一定の効果があるのは間違いなさそうです。ただ、ワクチンの発症防止の有効性がデルタ型などで下がると指摘されており、海外ではワクチンの3回目の追加接種(ブースター接種)の導入や変異型に対応したワクチンの臨床試験(治験)が進められています。
第5波では高齢者以外の新規感染が増えていますが、高齢者を除くワクチン2回接種率は21年9月13日現在28%にとどまります。ワクチンを接種しても感染を100%防げないため、接種後でも感染する「ブレークスルー感染」も起きています。このため、感染や重症化がさらに拡大する恐れがあります。