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増える墓じまい、納骨堂や樹木葬など永代供養広がる

2021.7.19 掲載
核家族化などを背景に、代々受け継いできたお墓を整理する「墓じまい」が増えています。お墓を継げる人が減っているうえ、遠方の墓参りの負担も大きいため、納骨堂や樹木葬などの永代供養が広がっています。今回はお墓の最新事情について解説します。

3.従来型のお墓より費用がかからない永代供養墓

3.従来型のお墓より費用がかからない永代供養墓
 墓じまいで取り出した遺骨は新しい墓に納めるか、海などに散骨するかのどちらかを選ぶのが一般的です。お墓は従来からある一般墓のほか、納骨堂や樹木葬の墓、永代供養墓などがあります。近年注目を集めているのが納骨堂です。納骨堂は多くの人の骨つぼに入った遺骨を屋内に収蔵する施設です。ロッカー式や棚式、仏壇式、カードをかざすと遺骨を納めた厨子(ずし)と呼ばれる箱が運ばれてくる自動搬送式などがあり、運営するのは寺院や宗教法人、自治体、社団法人など様々です。寺院の運営でも檀家になる必要がないことが多いので、納骨後のお布施などを気にする必要がありません。
 樹木葬はかつては自然豊かな地方の里山などに樹木を墓標として埋葬するものでしたが、最近は都市部にある草木に囲まれた専用の一角に埋葬するお墓が増えています。ただ、納骨できる人数が決められている場合がほとんどで、通常のお墓のように同じ場所に遺骨を制限なく埋葬することはできません。
 人気があるのが永代供養墓です。永代供養は石碑などの下の大きめの収蔵場所に他人と一緒に供養するもので、永代使用料を支払えば決められた期間、寺院などの管理者が管理や供養をしてくれます。このため、お墓の継承の心配がありません。納骨堂や樹木葬の墓も永代供養で、一定期間を過ぎると他の人の遺骨と一緒に埋葬されるのが一般的です。従来型の一般墓をつくるには100万〜300万円程度かかることが多いのに対し、永代供養墓は通常100万円未満で済みます。
 このほか、遺骨の一部をペンダントなどにして身につけたり、置物にして部屋に飾ったりする「手元供養」の方法もあります。まだ一般的ではありませんが、今後こうした供養法も増えるとみられます。
2021年7月19日掲載