政府は2050年に温暖化ガス排出量を実質ゼロにする目標を20年10月に掲げました。温暖化ガス排出量は再生可能エネルギーや水素の利用拡大などで削減しますが、火力発電などを使い続けるためゼロにはなりません。残る分は二酸化炭素(CO₂)の森林などによる吸収のほか、火力発電所などが排出したCO₂を地下に埋めたり再利用したりすることで相殺します。政府は目標実現に向けて30年度の温暖化ガス排出量の削減目標を13年度比46%減とし、これまでの26%減から大幅に上積みしました。
約190カ国・地域が批准し20年から適用が始まった気候変動対策の国際的枠組み「パリ協定」は、世界の平均気温の上昇を産業革命前と比べて2度未満に抑えることを目指すとともに、1.5度以下にすることを努力目標としました。18年の科学者らの報告によると、気温の上昇を1.5度以下に抑えるには30年までに世界全体の温暖化ガス排出量を10年比で45%削減し、50年までにゼロにする必要があります。既に米国や英国、欧州連合(EU)は50年までに、中国は60年までにそれぞれ温暖化ガスの排出量を実質ゼロにする「カーボンニュートラル」を達成すると表明しており、主要排出国はカーボンニュートラルを目指しています。
40カ国・地域の首脳が参加し21年4月に開かれた気候変動に関する首脳会議(サミット)では、米国が温暖化ガス排出を30年に05年比で50~52%削減することを表明するなど、30年に向けて削減の目標引き上げや加速を打ち出す国が相次ぎ、日本もこの動きに歩調を合わせました。