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投資信託、海外株対象がけん引し残高拡大

2021.5.17 掲載
投資信託の2020年度末の運用残高が過去最高の76兆円に拡大しました。ただし、日本株が対象の投信からは資金が逃げており、海外株が対象への投資増が残高を引き上げました。投信の運用はどのような仕組みで、その長所や短所は何でしょうか。今回は投資信託について解説します。

1.集めたお金をまとめて株や債券などに幅広く投資

1.集めたお金をまとめて株や債券などに幅広く投資
 投資信託は投資家から集めたお金をまとめ、資産運用の専門家が国内外の株式や債券、不動産など幅広い資産に投資して運用する金融商品です。運用による利益は投資家それぞれの投資額に応じて分配されます。投信は個人などから幅広く資金を募る公募投信と、限られた機関投資家を対象に募集する私募投信に分けられます。公募投信には比較的安全性の高い債券だけに投資する公社債投信と株にも投資する株式投信があり、株式投信には購入できる期間が決まっている単位型と、いつでも購入できる追加型があります。運用方針の違いによって、日経平均株価などの指数に連動するように運用するパッシブ型と、指数より高い運用成績を目指すアクティブ型に分けられます。
 投信には販売会社、運用会社、受託会社の3つの金融機関が関わります。運用会社の投資信託委託会社は資金をどのような株や債券などにどれくらい投資するのかを決めて投信を設定。証券会社や銀行などの販売会社は投信を投資家に販売して資金を集めます。集めた資金は受託会社の信託銀行が保管・管理し、運用会社の指示に従って株や債券などを購入します。投信の運用成績は運用会社の方針に左右され、市場環境などによって変動します。投資したお金である元本を割り込まないことが保証される預貯金と違って、投信は運用対象の株や債券などが値上がりして利益が得られることもあれば、逆に値下がりして元本を下回り損をすることもあります。
 利益が出れば、投資家は投資額に応じた分配金が定期的に得られたり、投信を購入・換金するときの値段の「基準価格」が上がったりします。換金するときの基準価格が購入したときより高ければ、その差額は投資家の利益となります。
2021年5月17日掲載