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国内外で人気高まるジャパニーズウイスキー

2021.4.5 掲載
国産ウイスキー「ジャパニーズウイスキー」の人気が高まっています。国内だけでなくウイスキーの本場の海外での評価も上がっており、各地に「地ウイスキー」を造る新しい蒸留所も生まれています。人気の上昇に生産が追いつかない状況で、品薄解消には時間がかかりそうです。今回はジャパニーズウイスキーの現状について解説します。

1.「モルト」と「グレーン」は原料や蒸留法に違い

1.「モルト」と「グレーン」は原料や蒸留法に違い
 ウイスキーには大麦麦芽(モルト)を原料とするモルトウイスキー、大麦麦芽と小麦やライ麦、トウモロコシなどを原料とするグレーンウイスキー、モルトウイスキーやグレーンウイスキーをブレンドしたブレンデッドウイスキーなどがあります。モルトウイスキーのうち、ひとつの蒸留所だけで造られたものは「シングルモルト」、ひとつの樽(たる)だけで熟成されたものは「シングルカスク」、複数の蒸留所で造られたものを混ぜると「ブレンデッドモルト」と呼ばれます。
 モルトウイスキーは発芽させた大麦を泥炭(ピート)などをたいて乾燥させた後に粉砕し、温水を加えて麦芽中の酵素ででんぷん質を糖に変えてろ過。これに酵母を加えて発酵させ、1回ずつ蒸留する単式蒸留器で2、3回蒸留した後、水を加えてオーク材の樽に詰めて熟成させます。熟成後に通常、いくつかの樽の原酒を混ぜ、瓶詰めされて販売されます。グレーンウイスキーの製造は原料のトウモロコシや小麦などに大麦麦芽を加えることと、何回も続けて蒸留する連続式蒸留器で蒸留することがモルトウイスキーとは違います。
 ちなみにウイスキーの原酒は熟成している間に樽の隙間から少しずつ蒸気となって出ていくため量が減ります。これを「天使の分け前」「天使の取り分」と言い、長い間熟成したウイスキーが高価になる要因です。
2021年4月5日掲載