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相続制度、高齢化に対応し約40年ぶりに変更

2021.3.15 掲載
相続に関する民法の規定が約40年ぶりに大きく変わり、2020年までに施行されました。相続に絡む争いごとの予防・解決や手続きの合理化・簡素化などが狙いです。相続の仕組みはどのようなもので、法改正によって何が変わったのでしょうか。今回は相続について解説します。

1.相続するのは法で定められた親族のほか遺言で指定も

1.相続するのは法で定められた親族のほか遺言で指定も
 相続とは亡くなった人が所有していた財産上の権利・義務を親族などが引き継ぐことです。相続する財産の所有者だった故人を被相続人、引き継ぐ人は相続人と呼びます。相続財産は現金や預貯金、土地、家屋、店舗、株式、債券、宝石、貴金属、著作権などです。このほか、借金、ローン、保証債務、未払いの家賃や税金など負の財産が残されていれば引き継ぐ義務があります。
 民法は故人の配偶者が必ず相続人になり、さらに①子ども(死亡している場合はその子どもや孫)②父母(死亡している場合は本人の祖父母)③兄弟姉妹(死亡している場合はその子ども)の順で相続資格があると定めています。ただし、故人が生前に遺言書を作成し、これ以外の人を指定すれば遺産を引き継がせることができます。故人が遺言書で遺産を譲る相手を指定していなくても、配偶者や子どもなどには法に従って財産が移ります。配偶者や子どもなどが遺産をもらう意思表示をしなくても相続は成立します。
 多額の借金や住むつもりがないのに固定資産税、維持費などがかかる家屋を相続したり、相続する不動産の評価額が大きく、容易に売却できないので相続税が払えなかったりすることもあります。こうした不利益を避けるため遺産をもらいたくない場合は「相続放棄」と呼ばれる法律上の手続きをしなければなりません。相続によって得る財産の範囲内で負債を受け継ぐ「限定承認」という制度もあります。
 相続と似た贈与は生前に口頭や書面で特定の人に財産を譲る意思表示をし、指定された人が受け取る意思を示すことで成立します。本人が生きているうちにすることなので「生前贈与」と呼ぶこともあります。
2021年3月15日掲載