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コロナ禍の下でも株価上昇、これはバブル?

2021.3.1 掲載
なお世界で猛威を振るう新型コロナウイルス。その影響で観光や運輸、外食などの企業は大きな痛手を被っています。にもかかわらず株価は上昇傾向が続いており、日経平均株価は2021年2月15日に3万円台を30年半ぶりに回復。米国も2月17日に最高値を更新しました。この株高に対して「今の状況はバブルではないか」と指摘する声もあります。バブルとはどのような現象で、どういう仕組みで発生するのでしょうか。今回はバブル経済について解説します。

3.コロナ禍対策の景気刺激策や金融緩和が相場の支えに

3.コロナ禍対策の景気刺激策や金融緩和が相場の支えに
 現在の日米の株高はコロナ禍による景気悪化を食い止めようとする政府の大規模な景気刺激策と中央銀行の金融緩和策が大きな支えになっています。2021年2月15日に3万円台に乗せた日経平均株価は、金融緩和であふれたお金の流入に加え、国内で新型コロナウイルスのワクチン接種が始まるのを控えて景気回復期待が高まったことで上昇が続きました。製造業が多く世界景気の影響を受けやすい日本株は景気回復局面で海外からの資金が流入しやすいことも要因です。
 米国では21年2月17日にダウ工業株30種平均が最高値を更新するなど上昇基調が続いていますが、バイデン政権が打ち出した追加経済対策が成立すれば景気回復が早まるとの期待が背景にあります。コロナ危機対策でFRBは政策金利の事実上ゼロを維持するとともに、米国債などを大量に購入する量的緩和を続けているため、あふれたお金が株式市場に流れ込んでいます。
 現在の株高をバブルとみて、はじけて株価が急落するリスクを懸念する声は少なくありません。その一方で、主要国の中央銀行が異例の金融緩和を続けている状況下では「妥当な水準」との見方もあります。
 企業の利益の何倍まで株価が買われているかを示し、高いほど割高とされる日経平均株価の株価収益率(PER)は21年2月15日時点で23.2倍と、60倍を付けたバブル期より低いものの、10年代の平均の15倍程度より高くなっています。日経平均株価3万円台を受けて、日経QUICKニュース社が市場関係者にアンケート調査を実施したところ、現状の株価水準を「バブル」または「ややバブル」とみる人と、「妥当」とみる人の割合がほぼ拮抗しました。
 経済の正常化が進めば、FRBの緩和政策転換と金利上昇が意識されやすくなり、株式相場が急落する恐れもあります。米国には「株式相場は不安の壁をよじ登る」という相場格言があり、先行きに慎重な市場参加者が多い間は相場はなかなか崩れず、強気相場は意外に長続きするとされます。裏返せば、バブル警戒論者が強気に転じたときが相場の転換点となります。ITバブル時にFRB議長だったグリーンスパン氏はかつて「バブルかどうか、はじけてみるまでわからない」と発言しました。相場の先行きに危うさがあるだけに、今後も株高が持続するのか注視が必要です。
2021年3月1日掲載