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コロナ禍の下でも株価上昇、これはバブル?

2021.3.1 掲載
なお世界で猛威を振るう新型コロナウイルス。その影響で観光や運輸、外食などの企業は大きな痛手を被っています。にもかかわらず株価は上昇傾向が続いており、日経平均株価は2021年2月15日に3万円台を30年半ぶりに回復。米国も2月17日に最高値を更新しました。この株高に対して「今の状況はバブルではないか」と指摘する声もあります。バブルとはどのような現象で、どういう仕組みで発生するのでしょうか。今回はバブル経済について解説します。

2.市場にお金が余っている状態が発生の要因に

2.市場にお金が余っている状態が発生の要因に
 バブルの発生には様々な要因が関係するとされます。そのひとつが市場にお金が余っている状態にあることです。80年代後半のバブル発生直前には円高が急激に進行したため、企業の輸出競争力が下がり円高不況に陥りました。そこで政府は公共投資の拡大など、積極財政による景気刺激策を打ち出し、日銀は公定歩合を引き下げてお金を借りやすくする低金利政策を長期にわたって続けました。これによって市場に資金があふれました。このとき企業は株式や社債の発行などによって自ら資金調達をしやすかったため、金融機関の融資への依存度は低下。金融機関は土地の価格は下がらないとする「土地神話」を背景に、土地を担保にした融資を膨らませ、不動産への投機を助長しました。
 ITバブルでは米国の中央銀行に当たる米連邦準備理事会(FRB)が98年から99年にかけて低金利政策をとったため資金調達がしやすくなり、インターネットなどITの急速な普及に伴う生産性の向上による成長への過度の期待から投資が過熱しました。
2021年3月1日掲載