ビジュアル・ニュース解説

ワーケーション、新型コロナ禍で普及加速

2020.11.2 掲載
新型コロナウイルスの感染拡大で、密接や密集を避けて観光地やリゾート地などで働く「ワーケーション」が広がりつつあります。国や地方自治体も普及を後押ししており、働き方改革推進の要因にもなっています。今回はワーケーションが生まれた背景や取り組みの現状などについて解説します。

3.滞在先を選べるサービスや施設の整備広がる

3.滞在先を選べるサービスや施設の整備広がる
 ワーケーションの拡大は関連産業の振興にもつながっています。宿泊予約サービスのキャンセル(東京・渋谷)は20年9月から、ホテルに3泊以上する長期滞在の予約がアプリでできるサービスを始めました。利用者が宿泊を検討している複数のホテルに専用アプリで日程と予算を伝えると、ホテル側がそれぞれ条件を提示。利用者はホテルを比較して選べます。シェアハウスサービスのアドレス(東京・千代田)は全国の滞在先を選べ、月額4万円からの定額で利用できるサービスを提供しています。
 不動産業界は対応施設の整備を進めています。岩手県遠野市や静岡県下田市など7カ所で施設を展開するLIFULL(ライフル)は23年までに施設を100カ所に増やします。企業や自治体から保養施設や廃校などの遊休施設を借りて改装した施設にはWi-Fiやコンセントを備えます。三菱地所は19年5月に和歌山県白浜町にワーケーションオフィスを開業したのに続き、20年7月には長野県軽井沢町に2拠点目を開設。今後も全国の観光地やリゾート地で積極的に展開する計画です。
 ワーケーションの受け皿になるリゾートホテルの会員権の需要も増え、取引件数や価格が上昇しています。リゾート会員権の販売を仲介するe会員権(横浜市)がまとめた20年8月の平均価格は245万円で、直近3カ月で5%高くなりました。同月の仲介会社の全取引件数は前年同月比6割増えています。
2020年11月2日掲載