ビジュアル・ニュース解説

米大統領選、新型コロナや人種差別への対応など争点に

2020.9.21 掲載
2020年には4年に1度の米大統領選があります。既に共和、民主両党とも候補指名を争う予備選が終わり、共和党は現職のドナルド・トランプ氏、民主党は前副大統領のジョー・バイデン氏をそれぞれ候補に指名。11⽉3⽇の投開票に向けて選挙戦が続いています。米国の指導者選びは日本を含む世界の政治や経済に大きな影響を与えます。今回は米大統領選の仕組みや現在の情勢などについて解説します。

4.支持率上回るバイデン氏、トランプ氏が差を縮める

4.支持率上回るバイデン氏、トランプ氏が差を縮める
 20年初までは好景気と堅調な雇用を追い風に、トランプ大統領の再選に楽観的な見方もありました。しかし、その後に米国の新型コロナウイルスの感染者数が世界最悪になったほか、白人警官による黒人暴行死事件をきっかけに、人種差別に抗議するデモが全米各地に拡大。トランプ大統領は新型コロナウイルス感染拡大の影響を軽視して対応が遅れ、人種差別への抗議デモに対しても「差別解消に熱心ではない」などと批判が高まりました。
 これに対し、バイデン氏はコロナ禍で打撃を受けた雇用や産業の再建のため、環境インフラやIT部門などに3兆ドル(約320兆円)近くの大規模投資を公約。人種問題では黒人女性を副大統領候補にするなど、融和政策で国民の分断解消と結束を訴えています。
 世論調査ではバイデン氏の支持率がトランプ氏を上回っていますが、ここにきてその差が縮まっています。黒人差別への抗議デモの広がりで、治安対策と人種問題が大統領選の大きな争点に浮上。トランプ氏はデモの一部が暴徒化して死者が出たことで治安対策の強化を訴えており、この姿勢が有権者の支持を集め始めた可能性があります。
 トランプ氏の支持者には「世論調査などでは支持を表明しないが、投票ではトランプ氏に投票する」という“隠れ支持者”がかなりいることも知られており、今後の選挙戦の行方は予断を許しません。
2020年9月21日掲載