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地球の歴史区分に初めて日本の地名「チバニアン」

2020.9.7 掲載
地球の歴史の一時代が2020年1月、千葉の名前に由来する「チバニアン」(ラテン語で千葉時代)と命名されました。国際学会の国際地質科学連合が千葉県市原市の地層を77万4000年前から12万9000年前の様子を示す代表的な地層として承認しました。日本の地名が地球の年代名になったのは初めてです。地球の歴史はどのように区切られ、チバニアンにはどんなことが起こったのでしょうか。今回は命名の経緯などを含めて解説します。

3.国際標準模式地の認定へ地元も支援

3.国際標準模式地の認定へ地元も支援
 市原市の地層について、茨城大と国立極地研究所などの研究チームが地層に含まれる磁石の性質を持つ鉱物の解析などから地磁気の逆転が起きた時期を高い精度で特定するなど、データを積み重ねてきました。研究チームは2017年に国際地質科学連合に市原市の地層を国際標準模式地に認定するよう申請。同学会は20年1月に申請を了承しました。
 市原市の地層の国際標準模式地への認定に向けて、地元は様々な支援をしていました。市原市は地層の周辺を市有地にするとともに、案内板や駐車場の整備、現地ガイドの養成を進めました。地層が18年に国の天然記念物に指定されると、管理団体にもなりました。認定に反対する男性が地層近くの土地の賃借権を取って一時抵抗しましたが、市は19年、研究者らが試料採取のために地層に立ち入ることを土地の所有者などは正当な理由なく妨げられないとする条例を制定して審査通過を後押ししました。
 同年10月には地層沿いの川が大雨で増水し、見学者用の階段の一部が流され、流木が散乱したため、見学者の立ち入りが一時禁止に。市は急ピッチで復旧させ、同年12月にはガイド施設「チバニアンビジターセンター」をオープンし、認定に間に合わせました。
 チバニアン命名をきっかけに、千葉県も県内に点在する地層全体の認知度を高めようと、11カ所の地層を「千葉の地層10選」として選定。それぞれにキャッチコピーを付け、特徴や見どころをわかりやすく説明しています。
2020年9月7日掲載